研究内容

群島と大洋の思想史 ― 太平洋のグローバル・ヒストリー

政治思想史/知性史は、陸地中心的な前提を持つ学問分野です。しかし近年、インド太平洋構想や中国の海上シルクロード計画に象徴されるように、海洋という広大な空間が政治的に注目を集めています。同時に、デイヴィッド・アーミテイジ他編『ケンブリッジ海洋史』(2018年)に代表されるように、海洋・海洋史学が脚光を浴びるようになってきました。しかしながら、政治思想史/知性史はこの画期的な時代の潮流から大きく外れています。海や海洋を真剣に考えるなら、政治思想史/知性史はどのような方法で更新や改訂、変革できるのでしょうか。私が主任研究者を務めるこの共同研究では、特に太平洋に焦点を当て、この疑問について考察します。


私たちの研究の出発点は、太平洋が地理文化的な存在であり、歴史を通して特徴的なヴィジョンや想像、構想、表象の集合体を引き寄せてきたということです。太平洋は、西洋から地元の小さな島々まで地球上のさまざまな地域から派生した、多様な構想と解釈がうずまく世界のるつぼでした。この海洋に関する記述は常に評価され直し、論争されてきましたが、同時に、この海洋に関する新たな意味や想像力を生み出すような形で、混ざり合い、合成されてきました。私たちは、このようなイデオロギー的もつれの最も重要な側面を明らかにしようとしています。